ペルソナ3

プレイ感想とか。


シナリオは、ここまでストレートなジュブナイルってのも珍しい。実に古典的というか、激しくお約束というか、びっくりするほど王道。すげえ面白い超引き込まれる、って感じではないけれど、斜め上にすっ飛ばないだけ安心して楽しめた感じ。ただ、全体的にもうちょっと肉付けできなかったのかなあという感はある。ストレガとか幾月の影の薄さったらないよ。
しかしまあ、メインシナリオよりも日常の会話が面白かった。キャラクターにしてもネタにしてもほとんど捻りの無い直球だけど、そのぶん丁寧に描かれている印象。屋久島のナンパ大作戦は正直噴いた。アレはBGMも相まってアホすぎる。コミュイベントも地味にグッとくるしなー、法王とか刑死者とか太陽とか。塔とか。
ただ、エンディングはいまひとつスッキリしなかったなあ。普通に考えれば大団円だけど、思わせぶりなメッセージのせいでネガティブにも解釈できる。プレイヤーのご想像にお任せしますandプレイヤー間で議論してねってことなんだろうけど、過程が直球だっただけに最後もぼかしたりせず直球の大団円で締めて欲しかった気がするなあ。とりあえずポジティブに解釈することにしたけどね。ネガティブに解釈してもそれはそれで美談っぽくはあるけれど、作品テーマや作中の伏線とかいろいろ否定することになりそうだし。


戦闘は、終始適度な緊張感を維持しつつもテンポよく進められていい感じ。
相手の弱点を突くと再行動できる1moreプレスシステムの為に、敵にしても味方にしても攻勢が一方的で、ステータス以上に、先制を取れるかどうか、相手の弱点を突けるかどうか、味方の弱点を突かれるか、あたりで勝敗が決まる感じ。かといってそれらの要素さえ抑えれば確実に勝てるかといえばそうでもなく、命中率が頼りなくて1moreが途切れ、その隙に敵の強力な攻撃が飛んできてピンチになるとかザラだし。ただまあ、プレイヤーの操作次第で先制を取れるので、真3のように確率で敵に先制を取られて何もできないまま一方的にゲームオーバーなんてことはないし、さほど理不尽さはなかった。ただ、システムやバランスに慣れきってくると余程カツカツなボス戦や即死攻撃以外では滅多に死ななくなったりも。全体的にはもうちょっとシビアでも良かったんじゃないかなあ、という気がしなくもない。ハードモードとかあれば良かったんだけどなー。
味方がオートなのは。ある程度ままならなさを狙ってのことなんだろうけど、思考ルーチンが実におバカねえ。全体回復と単体回復の使い分けが無茶苦茶だったり、普通に攻撃すればいいところを無駄に補助しまくったり、ここぞって時にこそ頼りにならない感じが。まあ、頼りない味方をカバーするのがプレイヤーの腕の見せ所ってな設計だろうし、1moreプレスとの親和性や主人公の完璧超人な作中描写を考えればバカAIで正解だとは思うけどね。
あとは、敵のグラフィックパターンが少な過ぎるのが気になったか。中ボスすらザコの使いまわしってのは流石にー。


操作性やインターフェイス周りに関しては、メニュー画面なんかのデザインはゲームのインターフェイスとしては新鮮でいい感じだけど、使い勝手がいまひとつ。メニューを開いたときのロードなどの微妙なレスポンスの悪さはメニューを頻繁に開くゲームとしては痛いし、アイテムのソート規則が微妙だったり手動ソートができなくて不便だったり、ペルソナ一覧でアルカナ名が一目でわかればペルソナ合体やコミュの計画を立てるのに便利だっただろうに、とか。
操作性の面では、長ったらしいゲームオーバー画面をスキップできないとか、パッドリセットがないとか、その辺でストレスが溜まる。選択に責任を持ってその結果を受け入れろ、ってことなんだろうけどー。あとは、学園パートで頻出するロードが気になったなあ。1回あたりのロード時間はそれほどでもないけど、ロード回数が多いもんだから、塵も積もればで割と気になるレベルに。戦闘開始時は爆速なんだけどねえ。


ペルソナ関連のシステムについては、悪くはないんだけどもったいないというか。
合体は面白いし、ペルソナ全書も至れり尽せりではあるんだけど、ペルソナを付け替えられるのが主人公だけで複数同時に使えないのがまずひとつ。これは設定やゲームデザインの上で仕方ないこととはいえ、なまじペルソナの種類やスキル継承で選択肢が豊富なだけにもったいなさがー。
あとは、鍛えたペルソナの力を試す場が乏しいのも残念。唯一の隠しボスは人修羅と同様攻略法主体で遊びがないっぽいし、エクストラダンジョンのザコは行けるようになった時点だと苦戦するけど、すぐにその差も埋まってしまうし。


タルタロスに関しては、戦闘の適度な緊張感とリソース管理のバランスはよくできてるなあ。自動生成や敵シンボルの統一で見た目が寂しいのが難だけど。
ただ、ゲーム全体として見た場合にダンジョン要素自体がちょいと浮いてる気がしないこともない。
ダンジョン攻略が本編の進行とほとんど関係なくて、半ば切り離されている感じがどうにも。まあ、潜らなければ本編のボスには勝てない訳だし、シナリオ上も鍛錬場所的な扱いだったと言えばそれまでだけど、この辺もう少しすり合わせられなかったのかな、とか。


学園パートに関しては、
あ……ありのまま今起こったことを話すぜ!
『RPGだと思ったら恋愛SLGだった』
な……何を言ってるのかわからねーと思うが(ry
ってのでまず面喰らった。いや、そういう要素があるということは承知していたけど、まさかここまでメインだとは予想してなかったさ。
システム的には、行ける場所はそれほど多くなく、できることも限られてる。とにかく毎日同じ事の繰り返しで作業的、その一言に尽きるなあ。まあ、日常なんてそんなものと言えばそうかもしれないけど。授業やコミュイベントのテキストは面白いんだけどね。一度読んでしまえばそれまでといえばそう。周回プレイ向きではないわなあ。


音楽は。これね、手放しで万歳するわ僕。ロックやオケっぽいのにに聞き飽きた頃合の自分には超クリティカル。ヒップホップってか、ハウスかな。戦闘から街の曲までほとんどボーカル入りってのがなかなか新鮮で。最初はちとうるさいかなと思っていたけれど、慣れてくるともう心地良いったら。ラスボス戦やストレガ戦のいかにもメガテンってなロックもいい感じだし、目黒氏はもうほんとGJだわ。


総括。インターフェイスデザインや音楽が醸し出すオサレな雰囲気は新鮮でいいし、ストーリーやシナリオのコンセプト及びテーマの消化という点ではよくできている。ただ、ゲーム全体としてみるなると、インターフェイスの使いにくさや学園パート・ダンジョンパートの冗長さや作業感が足を引っ張り、部分的な消化不良感も目立つ、惜しいゲーム。とまあそんな具合で。
いろいろと不満並べてきましたが、全体的にはまあ楽しめましたよ。操作性を改善し新要素を加えたP3マニアクス発売!とか言われたら、またアトラスお得意の完全版商法かよッ!と言いつつも買ってしまうかもしれない、という程度には。え? XRATED? え?